※梓が先天性にょた
…いたい。
イタイじゃなくて、痛い。すごく痛い。
何が痛いかって?
「お腹痛い…」
ぐったり。
たぶん、今の僕を一言で表すなら、それが一番合ってるんだとおもう。
なんで痛いのか。それはわかってる。
…2日目なのだ。
所謂女子の日、というやつである。
「さいっあく…」
僕はいまだに周期、というのが定まっていない。
一か月に1回は来るし、酷いときなんかはたまに2回来たりもする。
勿論、女子なら必ずいつか来るものではあるし、病気ではないのもわかってる。
けど、凄く憂鬱になるし、お腹は痛いし、いつ来るかわかんないし、動きにくいし、なによりここはほぼ男子校状態。
「制服も体操服もジャージも…わかり易い、からなぁ…。」
制服は無論スカートだし、星月学園のジャージは白(というか薄いグレーというか)だし。
(ナフキンだといい加減めんどいんだよな−…。諦めてタンポンにすべきか…。)
そういえば、タンポンって、意外と知らない人多いよな。
単に吸収体を膣にいれるってだけなんだけど、慣れるまではめんどくさいし時間がかかるのが難点。だ。
ただ、ほぼ確実に下着やら服やらを守れる。しかも動きやすい。
「弓道部、ランニングもあるしね…」
一人悶々とする。
「梓ー。次、体育だぞー?着替えないのかー?」
「あー…、翼…」
「ぬ!?梓どーした!?顔が真っ青だぞ!?眉間にシワ寄ってるぞ!?ど、どーかしたのか!?」
「どーもこーも…いつものだよ…。」
「ぬ…、そうか、お腹痛いのか…」
「うん。仕方ないから体育は休むよ。保健室いってくる。」
「ぬ!!!それはダメだ!!!」
「えー…なんでさ?」
「素足隊長に任せるくらいなら俺が梓の看病する!!!!」
「はぁ?……って、ちょ、翼!?」
ひょい、とお姫様だっこをされてしまう。
なんか悔しい…ってそうじゃなくて。
「つ、翼!?!?!」
「ぬ、おとなしくするのだぬーん。
あ、なぁなぁ、俺ら体育休んで保健室行ってるから、せんせーに言っといて!!!」
「お?おう、わかった。」
…ってちょ、承諾しないでよクラスメート!!!!!!
お腹の痛みで大した抵抗もできないまま、どこかへ連れられていく。
「…ねえ翼。」
「ぬーん?」
「こっち、明らかに保健室と方向が違うと思うんだけど。」
「当たり前だぬーん♪」
当たり前らしい。なにそれ初耳。
つれてこられたのは、生徒会室だった。
「ここなら誰もこないぞ!!!来ても生徒会メンバーだけだ!!!」
「あ、確かに。」
ここなら気兼ねなく休めそうである。しかし、寝れそうなのはソファくらいなもの。
「ここは潔くソファーで寝るべきか…」
「梓、こっち、こっち。」
「へ?」
一人でぶつぶつ呟いていたら、また持ち上げられてソファーに寝かせられる。
…翼の膝枕つきで。
「…なんで膝枕。」
「こーいうのは落ち着くってぬいぬいが言ってたぬーん。」
「…あっそ。」
確かに、落ち着く。
けど、なんだか…足りない。
こんな時だから、少し弱気なんだろう。
そんな風に思っていたら、ふわ、と翼が優しく僕の髪を撫で始めた。
「梓、寝ていいぞ。つらいのとか、苦しいのとか、俺は代わってあげらんないけど、傍にはいるぞ。
梓は、俺の前ではたまには甘えたり、我がまま言っていいのだ。」
なんだか、無性に泣きそうになった。
目を伏せて、顔を見られないようにして。
それでもたぶん、この恋人にはバレてしまっているんだろう。
ちょっと悔しいけど、嬉しい。
「ありがと、翼。じゃあ、寝る、から。その…よかったら、頭、撫でてて。」
「ぬいぬいさー♪」
僕は、そのまま寝てしまった。
寝る直前に、「おやすみ、」と聞こえた気がする。
なんでだろう、なんだか落ち着くんだ。
(ずっと聞いていたいな…)
そのまま僕は、眠りについた。
ずっと書きたかった先天性にょた、しかも女子の日!
本当にこれは書いていて楽しかった…
そのうち後天性も書きたいですね翼梓可愛いですね